第9話 セカンドオピニオンから知る手術の話 

〜せーたいかんいしょくとは〜


【私とこーじの300日】

第9話

🔴移植手術の成功確率とは?
🟡移植手術について深く考える
🔵色々と考える帰り道


🔴【移植手術の成功確率とは?】

h病院医

『せーたいかんいしょく』というものがあります。

先生、なんですかそれは。


【生体肝移植】という手術を
目の前で聞くのは初めてだった。

まずその手術が成功するのかどうか、気になる!

こーじ

先生、その手術の成功確率はどのくらいですか?

 

セカンドオピニオンの先生は、

h病院医

確率はとても低いので•••
本当に、オススメはしていませんよ?

と悩みながらも淡々とおっしゃった。

さらに、

h病院医

海外では無理にでも患者さんのためにそれを行うという病院もあるそうですが、日本ではこの成功確率だと、ほとんど行なわれることはないですよ

とおっしゃった。

  

これの成功確率ってそんなに低いのですか?
いったい何パーセントなんですか??

その時、医師から告げられた成功確率は


『85%ぐらい•••』だった。

85%ってめっちゃ高いじゃないですか!


こうじも一緒に、笑顔で言った。

しかし•••

h病院医

え〜😓(汗)低いですよ〜
こんなに低い可能性じゃ、どこの外科医も手術はしないでしょうね•••

そうなんですか!?😮
普通の、みんながやってる手術の成功確率って
おおよそ何パーセントぐらいなんですか?

と尋ねると、

h病院医

そ〜ですね•••
99.5パーセント•••

•••高っ?!

 

h病院医

最低でも
98%以上の成功確率でないと、ほとんど手術は行わないですね•••

 

ええ!そんな高い確率じゃないと手術しないってことは、
85%は•••

 

めっちゃ低いですやん!?

なんでそんなに
成功確率が低くなるのか
色々説明を受けた。

血液型が同じか、異なるのか、でも違いがあり、
異なる血液型の場合は、成功確率が10%ほど
ぐっと下がるらしい。 

あとは患者さんの血液の成分の相性や
本人が手術に耐えられるかどうかの状態など
いろいろだそうだ。

 

血液型の中でもプラスとマイナスがあったり•••いろいろ説明を受けた。

85%の確率ですけど、それでも手術をしたいです!って言う人もいるんでしたよね?

h病院医

外国だとかドラマだとかブラックジャックという漫画だとか
いろいろあるけれど•••、日本では普通はしないね。

まぁ一回、手術は可能性がある限りやってみましょうよ〜

私とこーじは言った。

もし手術がうまくいかなかったらその時また、前向きに考えて方向性変えたりしていけばいいですよね!

先生は
すぐ振り返り、
ひとこと言った。

私も浩司も驚いた。

失敗したら、その時また考えます!などと
ドヤ顔で『前向きな人間発言』をした事が
ちょっと恥ずかしくなった。

失敗=死なんて思ってなかった。

あかんあかん!
これは慎重にしなくちゃいけない。私もこうじも失なわれるとゆうことだ。

•••それは選択肢になかった。

たぶん、ふたりとも。

🟡【移植手術について深く考える】

という事は…(以下、考えにふける)

【生体肝移植】は、もしもやるとなってもよーく考えないといけない。

私たち2人だけの考えでは進められない。😞

私の両親や
いろんな人に相談しないと、
失敗した時のこと考えないと、いけない。😖

2人の生命保険の受取人を変えないといけない。😞

その手術の費用は誰が払うのか、
病院側にもし落ち度があった場合は誰が裁判するか、
手術失敗による死亡は保険金が降りるのかどうか•••

 

などなど、
考えなくてもいい事まで
頭をよぎる。

色々と大変だぁ•••

でも1つの選択肢として教えてくれた先生に感謝だった。

 

先生、もし手術を行うとしたら、
費用とか手術の日程だとか、どうなるんですか?
もし、するとしたら、です。

 

h病院医

提供者にもよるのですが、まず提供してくれる方に渡す費用(謝礼金)が大体3〜5百万だとすると、手術にかかる費用等が4〜5百万円位ですかね。

うえぇー!なんすかその金額!ドラマのような感じですね!

 

【生体肝移植】って、文字通り生きている人から生きてる人に臓器(肝臓)を手術で提供するってゆうやつなんですね•••。それでリスクが高いから、料金も高いんですね…

 

いろいろびっくりだった。

(以下、考えにふける)

私の想像の中の移植手術は••••••

誰かが事故で瀕死で、そーいった人がドナーカードを持ってたりして、脳死が判明したらその瀕死の人の、わりとフレッシュな臓器?を提供されるイメージで、なにせ相手は瀕死なので手術失敗のリスクも少なく•••??

それで手術もやりやすいもんなのかな?なんてテキトーな考えで恥ずかし〜…🤦‍♀️

 

料金が常識を超えてた…🤦‍♀️

いやこれが常識やったんや…🤦‍♀️

これは•••クラウドファンディング?とかいうのが必要?
『病気の子供のために寄付をお願いします〜!』っていう
あれをテレビで見たことがあるけど•••
それがこういったケースなのか•••!?

でもそこまでして…

そこまでする…?

しなかったら、
私は夫の為に何もしない
冷酷者扱いになるん…?(心の葛藤)

いやいや、あれはきっと別世界!
現実的に考えなあかん…!

色々考える中、先生に聞いた。

臓器提供者が身内(私とか)だった場合って、
その提供者に支払うお金って渡さなくても済むんです•••よね?

 

h病院医

そういうことも可能になりますが、提供してくださる方のリスクがかなり高いので、身内でも無料でやってもらうと言うわけには…やっぱりいかないと思いますけれどね…

h病院医

私としての結論は、やっぱりそちらの主治医さんと同じ判断ですね。
『肝動注』という処置です。
入院先の先生にも、私がそう言ってたとお伝え下さい。

今日はありがとうございました。

気がすむまで
質問させてくれた先生に深くお礼を言い、
私達は大きな病院を後にするのだった。

🔵【色々と考える帰り道】

帰り道で突然こーじが

こーじ

観覧車、乗ろうや

と言った。

こんな時に何ゆうてますん•••?

と思い、スルーしようとした。

•••が、

こーじからそういう事を言い出すのは珍しい事だった。

 

自分のこころの中のおじさんが、
これが最後だったらどーするんじゃ!?とすっごく叫んでいる気がした。
我に帰り、相手中心の心をなんとかを取り戻した。

せっかく『乗ろうや』と言ってくれたのだ。

自分中心の
『こんな時に何言ってるの』は捨て去り、
数年ぶりの観覧車に乗る事になった。

外出予定の制限時間まで、あと数時間。

貴重な時間を、私と過ごす事に使ってくれた。

もっと他に行きたいところもあるだろう
やりたいこともあるだろうに。

なんでもリクエストに答えてあげれたらいいけど、
お金も時間もない気がする。

『そんな事して時間がもったいない』
と、つい思ってしまうのは
私の悪い癖だとおもう。 

いつかは
『その貴重な時間をありがとう』と
すぐ思えるようになるのかな。

久しぶりのロマンチックなはずの観覧車は、
悪天候に見舞われて、
景色は全く見えなかった。

景色も、頭の中も、真っ白だった。

その代わり、たくさん会話ができる。

こーじ

僕ら、移植、どうしよか。

そうやなぁ。

おとん、おかん、兄弟、友達がどう思うかなぁ•••

私は色々考えた。

う〜
これ、ほんまに
難しい選択やんかぁ…

命がかかってくると、
1人や2人じゃ決められないことも
あるんだなぁ…と実感した。(お金もかかってくるし)

夫婦だけで解決できる問題じゃなくなってきたなぁ…と感じた。

•••ん?🤔

いや•••

いやいや、
2人の命やから、

2人で考えて出した答えで
OKなんちゃうん?!(心の葛藤)

そして•••

そんなお金ないわぁ!😫

(早くも2人の結論が出たのだった。)

こーじ

ま、そやな。

 

•••いや?まてよ🤔
ふと思いついた。

もし生命保険料を、生きてる間に受け取れるとしたら?
そのお金、なんとか•••なるんちゃうん?

なんて

こうじにそんなことをぼやいてみると、

こーじ

保険屋のお姉さんに一応聞いてみたら?

と気軽に言われた。(まるで他人事のように)

そんなん普通無理やろ(笑)

『生命保険』なんやから(笑)

死んでからじゃないとあかんやろ(笑)😅

と思ったが、

一応、聞いてみるわな

と返事をし、

あとで保険屋さんのお姉さんに電話することにした。

生体肝移植について、
お金の話と、
手術の成功確率の話と、
初めて聞くことばっかりで驚いた1日だった。


次回10話

え?生命保険って生きてる間に受け取れたっけ?