第1話

【私とこーじの300日】

〜とある日の夕方〜

〝こーじくん・・・一体どうしたの・・・?!〟😵‍💫💦

その日は会社の帰りに病院へ直行した。🏥

お義母さんから
「仕事終わったら病院に寄ってくれる?こーじが•••」
とLINEが届いていた。

思い返せば今朝、夫のこーじが、

こーじ

朝ごはんの時、トマトジュースを飲んだけど戻しちゃった。

こーじ

昨日胃カメラやったから、
まだちょっと気持ち悪さ残っててん。

と言っていたのを思い出した。

市の無料検診で
昨日胃カメラ検査をしてきたみたいやから、
異変があるならその時に気づくはずやけど、
どうしたんやろ•••


何か身体で異変が起きてるのは間違いないな••••••

色々と不安な気持ちのまま、病院へ直行した。

「病院のどこにいるのか?」
と尋ねると、

なんと

“集中治療室”という
ドラマでよく聞く部屋へ案内された。

  

しゅっ、
〝しゅーちゅー?ちりょーしつ?〟
なんて、
かなりの重病人が入る部屋ちゃうん!?

そこは
消毒して入らなければならない、
完全に隔離された部屋だった。

(この時はまだ、世界にコロナウィルスは存在しておらず、世間的には消毒の習慣はなかった。)

  

ドアは二重になっていた。

まず
“集中治療室”手前のドアの前で
手指をアルコール消毒し、

そのドアを開けると!

小さな部屋だった。

そこは消毒専用の部屋らしい。

(あれ?今さっき消毒したけど??)

 

さっきの消毒は、
この部屋に入るドアを
触る為の消毒だった。

この部屋の中で
本格的に消毒するらしい。

マスク着用。

ゴム手袋なんかも置いてあった。

 

 

(ナニコレ、食器洗いに使うモノがこんなところにある?)

 

 

足元のマットで靴の裏を消毒。

小さな洗面台で
手のひらや甲をきっちり洗い上げる。

看護師さん達も
同じように消毒をして部屋に入った。

“集中治療室”へ。

  

  (うわぁ〜広い部屋〜!😓)  

  

ドアの向こうは
広い空間で見渡しがよく
ベッドがたくさん見えた。

 

柱があまりないフロアだ。

重症な患者さんらしき人たちが
ベッドに横たわっていた。
身体と機械が
チューブで繋がれている。

全体的に見渡しの良い部屋だったが、
中心部だけ、
柱やガラスで囲まれている。

なんか特別に隔離されている。

その透明なガラス越しに、
中にいる人たちが見えた。

 

•••目が合った。

 

•••こーじくん!とお義母さんだった。

 

 

 

(うあ〜こうじくん!ここの中におるんかあ!どゆこと!?)


恐る恐る小部屋のドアを開け、入った。

初めて見る機械に
チューブで繋がれた夫の姿。


2人とも言葉がなかった•••。
それは雰囲気で分かる。

私「どどど、どういう状況?」

聞かなければ何もわからない。始まらない。

こーじ「何とも…言われへんわ…」

お義母👵「何か説明されたけど、
全然わからんかったわ…。
看護師さんに聞いてきてみてくれる?」

私は看護師さんに聞きに行った。

私「もしかしてめっちゃやばい状況ですか?」

看護師さん「•••(うなづく)。まだお聞きになってないですか?」

私「ハイ。2人とも何も話さないので•••」

看護師さん「それでは•••先ほど説明したのですが•••
もう一度説明しますのでこちらに来てくださいね。」

•••それから、いくつか説明を受けた。

説明によると•••

朝の嘔吐は、
トマトジュースではなく、
きっと吐血だったらしい。

その原因は
胃の調子や
前日に検査した胃カメラのせいではなく、

弱った肝臓の可能性が高いそうだ。

そこで肝臓を調べたところ、
•••真っ白に写ったそうだ。

 

(どうゆうこと?)

 

 

つまりは、
白い影は腫瘍。
それは、悪性。

そして、大きい。

がん?ってやつ?

がんと告げられる・・・。

  

看護師「おそらく、肝臓がん、
ステージフォーです。」👩🏻‍⚕️

私「フォー?4?
って言うことは、
あと6くらい余裕があるんすね?」🙋‍♀️

(MAX10段階かな??)

  

看護師「•••えっと、最大4 です。つまり末期です。
他のご家族や、会社に連絡しておいてくださいね?
これから手続き関係をお伝えします。

入院や治療について、
高額になるのでその手続き、
役所への申請などたくさんあって、
これから本当に忙しくなります。

わからないことは聞いてください。
患者様本人以外に相談できる人はいらっしゃいますか?」

  

(ぬぉ〜怒涛の質問と説明で思考が追いつかない•••。)

私「実家のオカンや兄弟とか、みんなに相談できます!」

  

•••と返事していた。

  

看護師さん「それならいいです。相談してくださいね。」
と言って、看護師さんはその部屋を後にした•••。

私は集中治療室に戻った。 

集中治療室に戻って・・・

•••言葉が見つからない。

  

私「無言になる意味がわかったわ」と言うと、

お義母👵「そう〜頭が、ぼ〜っとしてしもたわ」と一言。

 

 

(ここから少しづつ、お義母さんが不安定になっていく事に、この時はまだ気づいていない…)

 

 

こーじ「俺、看護師さんに、“オレってこれやばいですかね?”って聞いてん。
そしたら、“•••ヤバイです。”って言われてん、
それで“これはほんま(リアル)なんや•••”って思ったわ。」

私「今もめっちゃ苦しいん?痛いん?ヤバイ感じするん?!」

こーじ「いやぁ、今はそんなに…。
多分、検査の後の薬か何かのおかげで
痛みがおさまってるんちゃうかな•••。
これからどうするんやろ…。」

私「抗がん剤治療とか始まるんかな?
それか、手術的な?
いや、さっきめっちゃヤバイですか?って聞いたら、
私も同じこと言われたわ。」

こーじ「二人して同じこと聞いてるやん」

2人「(無言)」

私「そのっ•••寿命?🤨的な、余命?🤨的なことって•••
なんか宣言されちゃったん?!」

こーじ「いや!•••とくに“余命は
このぐらいですよ〜”とかは言われてないけど•••
さっきの“…ヤバイです。”って言うのが•••
そうゆうことなんやと思う••••••。」🙁

そこには重たい空気が流れていた•••。

 

(これから忙しくなりますよ、って言われたな…
あの看護師さんも同じ経験があるんやろな…。


泣いてる暇なかったですよ、って言ってたな…。
きっと私にもそんな暇ないんやろう。

 


うん!泣いてる暇なんかない!
そんなん勿体無い!

そんなんいつでもできる!

何年経ってからでも泣けるんや!
 


今、•••泣くひまなんて•••、ないんや••••••。)

こうして、こうじくんとの闘病生活が始まった。


次回

入院が決まった夫の 意外なこだわり

〜初めての入院手続き〜

何もかもが初めて。

でもどうやら知ってて当たり前のことばかりで••••••

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